庭を整え新しい年を迎える
――庭師の師走の仕事――
庭をきれいに整え、新年を迎える。
それは庭師にとって、師走ならではの大切な仕事です。
サンガーデンでは毎年12月になると、「お正月までに庭を美しくしたい」という多くのお客様からご依頼をいただき、庭木のお手入れや清掃に入ります。
紅葉が終わり、落ち葉が少し落ち着いたこの時期が、庭の手入れには最適なタイミングです。

今年は特に、モミジをはじめとした落葉樹の紅葉が見事な年でした。
私たちが作業に入る時点で、まだ葉を残している木もありますが、場合によってはそれらの葉も丁寧に取り除きます。
後から葉が落ち、せっかく整えた庭の美しさを損なわないようにするためです。
もちろん無理はしませんが、自然に落ちるであろう葉は、できる限り手で取り除きます。
その際、枝先を傷めないよう細心の注意を払いながら作業を進めます。
落ち葉拾いや除草など、機械では対応できない部分こそ、庭の仕上がりを左右する重要な工程です。
大きく成長した樹木の剪定はもちろんですが、実はこの「掃除」の質が、庭全体の印象を大きく変えます。
手間をかければ、庭は確実に美しくなります。
しかし、いくらでも手をかければよいというものではありません。
予算や作業人数には限りがあるからこそ、その中でいかに効率よく、そして美しく仕上げるか――そこに庭師の技と経験が問われます。

機械でできる作業は機械に任せ、繊細な部分は人の手で丁寧に。
最終仕上げは、手ぼうきを使って行います。
お客様の立場に立てば、プロに依頼する以上、納得のいく仕上がりでなければ意味がありません。
だからこそ私たちは、「より美しく、より早く、より丁寧に」を常に意識しながら作業を進めています。

白川砂と砂紋の美
白川砂の上に落ちた葉や草をきれいに取り除いた後、砂紋をつけていきます。
砂紋を描く前には、一度すべてをフラットな状態に均します。
この「完全なフラット」をつくる工程が、砂紋を美しく浮かび上がらせるための重要な下準備です。
整えられた白川砂に、丁寧に模様を描いていきます。

**砂紋(さもん)**とは、
砂利に模様をつけ、水の流れや波を表現する日本庭園の伝統技法です。
枯山水庭園では、水を使わずに自然の景色を表現するために砂紋が用いられます。
木製の型を使いながら模様を描き、細かな部分は小さな型で仕上げていきます。
白川砂は、フラットに敷くだけでも十分に美しい素材ですが、庭の構成やデザインに合わせて砂紋を施すことで、庭の表情は大きく変わります。
好みや考え方は人それぞれですが、
この庭では白川砂を「海原」、築山を「島々」に見立て、波をイメージした砂紋を描いています。

砂紋が加わることで、庭に動きと奥行きが生まれます。
単調に見えていた白川砂も、表情豊かな景色へと変わり、緑の苔とのコントラストが一層美しく際立ちます。

冬の庭に宿る、静かな生命の気配
こちらはヤブツバキのつぼみです。
花が咲くのは春ですが、冬の間に少しずつつぼみを膨らませています。
寒い季節にこうした変化に気づくと、自然の営みの神秘さを改めて感じます。
つぼみ自体は夏の頃からすでについており、半年以上も前から花を咲かせる準備が始まっているのです。

こちらはトサミズキ。
ヤブツバキもトサミズキも、お客様がとても大切にされている樹木です。
春に咲く花たちは、静かに、しかし確実に季節を待っています。
庭先で四季の移ろいを身近に感じられることは、とても贅沢な時間です。
そして、その変化に気づける心のゆとりもまた、大切なのかもしれません。
私たちは庭に携わる者として、そうした変化に気づくのは当然のことかもしれません。
ですが何より、お客様が庭を通して四季を楽しみ、心地よい時間を過ごしてくださることを願っています。
そのために、私たちがお手入れする庭が、いつも美しく、居心地のよい空間であり続けることを目指しています。
時を重ねる庭とともに
姫路市にあるこの庭は、約8年前に田中がガーデンリフォームを行いました。
デザインから施工まですべて自社で手がけ、完成させた庭です。
それ以来、毎年師走の時期にお手入れをさせていただいています。
庭は年月とともに成長し、表情を変えていきます。
その変化を感じ取りながら、その時々にふさわしい手入れを施していく
それが、私たち庭師の仕事です。




